現代人は薬を安易に飲みすぎる

みなさん、風邪を引いたら風邪薬、熱が出たら解熱剤、のどが腫れて痛ければ抗炎症剤と、薬をポンポンと口に放り込んでいませんか?症状に対してそれを抑える目的で薬を処方することを対症療法といいます。対症療法薬はとても便利ですが、これに頼りすぎるとかえって抵抗力を落とす原因になります。

たとえば、風邪で熱が出るのは、ウイルスや細菌と闘うための体の自然な反応です。体温を上昇させることで免疫系の活性化を促すことのほかに、ウイルスや細菌は総じて熱に弱いので、その熱は免疫細胞にとってサポートとなります。ここで熱を下げると、間接的に細菌やウイルスに加勢することになります。解熱剤に限らず、薬、特に化学薬品は、「本当に自分の体に必要か」を問い直して、できるだけ使わないようにするのが、都市型原人生活の基本です。もちろん、糖尿病や狭心症で処方されている薬を急にやめるのは危険ですし、そんなときに「薬に頼るな」などというつもりはありません。

自然治癒力をもっと活用しよう

ここで私がいいたいのは、自分の経験から日常的な症状だとわかるちょっとした風邪や便秘、習慣性頭痛、下痢による腹痛などの場合です。以前は私も風邪薬や解熱剤を使っていましたが、都市型原人生活に目覚めてからは、自然治癒力で治すようにしています。慢性病がある人は別ですが、基本的に健康な成人であれば、できるだけ対症療法薬に頼らず、治せる不調は、自分の自然治癒力で治しましょう。

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アンチエイジングのキーワードは「都市型原人」

実際に薬の減量に成功した例

私のクリニックに来院される患者様でも、都市型原人生活を取り入れることで薬の減量に成功した例が数多くあります。その一人の方の例をご紹介します。(患者様をAさんとします。)

Aさんは脂質異常症、慢性胃炎、貧血、頭痛、不眠、重度の肩こり、腰痛などで、以前かかっていたクリニックでは10種類以上の薬を処方されていました。引越しされたためそのクリニックに通えなくなり、紹介されて私のクリニックに来られたのです。

初診時には「常に疲労感が強く、やる気が起こらない」という訴えがありました。私は検査結果から、Aさんの脂質異常症は、閉経後の女性ホルモン低下による軽い高コレステロール血症と考え、まず脂質異常症の薬を中止しました。肥満でない閉経後女性の軽度のコレステロール血症は、危険ではないとされているからです。

そして歩数計をつけて、それまでの歩数よりも多く歩くように提案しました。同時に塩分制限と白米の摂取を半分にする食事指導を行いました。運動習慣がついてくると、夜よく眠れるようになり、肩こりも軽くなったので、睡眠薬と骨格筋弛緩剤をやめてもらいました。また、血圧も徐々に下がってきたため、降圧剤の種類を減らして1種類にしたのです。こうして服用する薬が減ったため、胃薬の類もすべて中止できました。この頃になるとAさんは、「疲労感がなくなり、体を動かすのが楽しくなってきた」といい、フラダンス教室に通い始めました。

最終的に、常用する薬は降圧剤1種類のみとなり、今では見違えるように元気になって快適に生活されています
Aさんは薬の飲みすぎで、かえって体調をくずした典型例です。ウォーキングと軽い食事制限で、ほとんどの症状が改善したので、無理なく薬をやめられ、ますます健康になるという好循環が生まれました。
薬をむやみにやめるのは禁物ですが、このように段階を踏んでいけば、減薬できるケースは少なくありません。

主治医に相談、選択肢としてメディテス

減薬に関しては、患者様が独自で判断できるものではありません。しっかりと主治医に相談をした上で、どのようにしたら減薬できるのかを明確にし、指導のもと実行する必要があります。ただ、生活習慣病の類の薬を減らすためには、病の元となっている生活習慣を正さなければいけません。この生活習慣を正す、ということが主治医にとっても、患者様にとっても、大きな変化となり労力がかかります。

院外指導を可能にし、生活習慣を整え体質改善を行うことができるのが、まさにメディテスです。主治医の選択肢としても、患者様の選択肢としても、メディテスを取り入れることで、生活習慣を整えることが可能になります。

著者
青木晃(医師)

◼プロフィール

防衛医大、東大医学部付属病院などで、内分泌・代謝内科、腫瘍内科の臨床研究に従事。
多くの生活習慣病患者、がん患者の診療を通し、従来の日本の保険医療の限界を痛感。日本の生活習慣病、がん疾患の撲滅のための診療を実践。「老化が病気を引き起こす」という観点からアンチエイジング(抗加齢)医学のフィールドにおいて早くから活躍。
2007年10月、順天堂大学大学院に開設されたアンチエイジング医学の講座「加齢制御医学講座」の准教授に就任し、抗加齢医学の臨床・研究・教育にも従事。
TV、ラジオの健康情報番組への出演、多数の雑誌内特集記事の監修、書籍の執筆や講演活動などを幅広く行い、生活習慣病予防、抗加齢医学の啓発に従事。日本抗加齢医学会役員としても、日本全国のアンチエイジングクリニック、アンチエイジング関連施設での指導・アドバイス、講演会等を行っている。
自らもアンチエイジングライフを日々の生活の中で実践し、ホルモン年齢、脳年齢、筋・骨年齢などはすべて30代前半の体内年齢をキープしている。

◼所属学会

・日本健康医療学会常任理事
・日本エイジマネージメント医療研究機構理事
・日本抗加齢医学会評議員
・日本内科学会認定内科医
・日本抗加齢医学会専門医
・日本健康医療学会認定医

◼主な著書・共著

『モナリザエクササイズ』(エクスナレッジ)
『40歳からのタイプ別 ダイエット診断』(竹書房)
『いい睡眠があなたを10歳若くする』(青春出版社)
『一生若くいられる「都市型原人」という生き方』(マキノ出版)
など、多数。