ダイエットに必要な知識不足

ダイエット成功のために、食事量のコントロールと適度な運動が必要であることは、よく知られています。最近ではこの2本柱に加えて、「基礎代謝」なる柱も加わってきています。「体の代謝が悪いとやせにくい」などと云われているものがそれ。
実はこの3つの柱をうまく立たせても、やせられないことがあるのです。それは自律神経の調子が悪い人。
ダイエットがなかなかうまくいかなくなる理由は自律神経の働きの低下に原因があります。

心臓や肺、脳などといった体の臓器の主役たちに比べ、ちょっと地味な感じのするこの自律神経とはいったい何者なのでしょう。

 

 自律神経とは

自律神経というのは胃腸や心臓などといった重要な内臓を動かしたり、人が外界の環境にうまく適応して生きていられるように体の内部環境を調整する働きを持つ神経で、本人の意思でコントロールすることは出来ません。

「太る」とか、「やせる」という現象を医学的に説明すると、体の内部で脂肪という組織が大きくなったり小さくなったりする(正確には脂肪細胞に蓄えられる中性脂肪が増えたり、減ったりする)代謝反応が起こっていると云えるのです。この代謝を動かしているのが自律神経やホルモンといった脇役たちなのです。

ところがこの自律神経がきちんと働いてくれないとやせることは出来ないのです。現代文明社会に生きる私たちはいろいろな環境からのストレスやひずみに日々むしばまれ、自律神経はそちらの調整に24時間、365日追われっぱなし。また、オートマチック社会が生きる力となる体の内側の筋肉を弱め、様々な汚染物質や多くの体内老廃物体が、体全体を浄化させる作用のあるリンパ系をドロドロにさせています。こんな状況では、自律神経やホルモンはダイエットには振り向いてはくれません。

 

現代人は〇〇症候群

特に交感神経という「活動モード」の自律神経系が脂肪を溶かしたり、燃焼させたりすることに関係しています。この交感神経がうまく働かないとうまくやせられないことを指すのが、「モナリザ症候群」、Most Obesity Known Are Low In Sympathetic Activity(肥満者の大多数は交感神経系の働きが低下している)なのです。単に交感神経系の働きのみがわるくなっていることを意味しているわけではなく、リラックスモードの副交感神経とのバランスが悪かったり、メリハリがなくなっている状態が問題です。
モナリザな状態はダイエットに成功しないだけでなく、体の様々な調子を狂わせ、放置すると本当に病気になってしまうことにもなりかねません。美や健康のQOL(Quality of Life)を支えるもの、これが自律神経なのです。

自律神経の調子を整えることを基本とするダイエット法を私はモナリザダイエットとして紹介しています。モナリザダイエットはスタイルを気にしている人達だけのための単なるダイエットとは違います。現代文明社会に生きる私たちにとって宿命ともいえる自律神経の失調からくる様々な問題を解決して、いつまでも元気で若々しくキレイに生きることが出来るようにするための、まさにアンチエイジングダイエットでもあるのです。

 

モナリザな状態を改善するには

この自律神経を整えるのに必要なのが「浄化」「解毒」「リセット」です。モナリザの状態にある人は、ダイエットの問題以外にも様々な心身の不調を伴っていることが多いという特徴があります。心身ともに健康な状態の方が非常に少ないのです。そしてモナリザ度の高い方は本当に日々の生活がメチャクチャであることが多いことに、本当に驚かされます。私はクリニックにおいて、内科ダイエット外来の他にアンチエイジング(抗加齢)の医療も行っています。アンチエイジング医療に大切なことはその時その時のQOLを出来るだけ良いレベルに維持し、ごきげんでいることです。モナリザな人はその意味では、非常に老化のスピードが速くなる可能性が高いのです。

そしてそんな方々の話をよく聞いていると、モナリザな人には3つの特徴があることがわかりました。みなさん共通して忙しい毎日をおくっていて時間に追われ、「地球の時間」を無視した昼夜逆転の生活、四季を感じないエアコン漬けの生活になっていたり、「地球の重力」を感じない安楽な動き(階段を昇らない、重いものは持たない、姿勢よくいられない等)に流れる生活。そして本来の「地球の環境」とは異なった文明社会の作り出した快適な環境に浸りきっています。「環境」そのものの汚染も問題です。そう、キーワードは「地球」。モナリザはこの「地球」を意識しない毎日の生活が作るのです。

ダイエットのための最新のノウハウはもちろん役にたつものですが、それだけを黙々とこなすようなダイエットはもうそろそろ終わりにしましょう。なぜやせないのかを考え、もっと本質的な体の生きる力を大切にしてやる、地球を無視した生活環境に暮らす自分をリセットする、体の中に溜まった毒素や余分なものを浄化・解毒する、こういったことがモナリザを解消し、キレイで健康的な体に導くのです。

 

自分にあっているのか?

果たして、万人に効く安全で効果的なダイエットはあるのでしょうか? ある市販の咳止めの薬があったとしましょう。CMでは「どんな咳も、これでバッチリ止まります!」という宣伝をしています。本当にこの咳止め薬であらゆる咳が止まるでしょうか?医学的には、咳を来たす疾患は、一般的な風邪はもちろん、気管支喘息、結核、肺がん、心不全・・・といろいろあります。気管支喘息の咳には気管支拡張薬を、結核の咳には抗結核薬を、肺がんは手術をしなければ根本的にはそれらの咳を止めることは出来ません。表面に現れた症状はみな同じ「咳」であっても、原因に即した治療を行わない限りそれを解決することは出来ないのです。そればかりか、やみくもな間違った選択は身体にとって有害になることすらありえます。

これと全く同じで、「太る」、「やせない」にもそれぞれに違った原因、理由があり、太り方の種類も異なります。唯一無二のダイエット方法があらゆる人に効果を表すはずなどありえないのです。それ故に、効果的なダイエットを行うためには、「太った」理由、あるいは「やせない」理由を突き止める必要があるのです。
メディテスでは、血液検査やその他検査を用いて、医師が診察をすることで
患者様一人一人にあったダイエットを提供することができます。

ダイエットを始める前に、まず「自分」というものを知ることからスタートしてみましょう。

 

著者
青木晃(医師)

◼プロフィール

防衛医大、東大医学部付属病院などで、内分泌・代謝内科、腫瘍内科の臨床研究に従事。
多くの生活習慣病患者、がん患者の診療を通し、従来の日本の保険医療の限界を痛感。日本の生活習慣病、がん疾患の撲滅のための診療を実践。「老化が病気を引き起こす」という観点からアンチエイジング(抗加齢)医学のフィールドにおいて早くから活躍。
2007年10月、順天堂大学大学院に開設されたアンチエイジング医学の講座「加齢制御医学講座」の准教授に就任し、抗加齢医学の臨床・研究・教育にも従事。
TV、ラジオの健康情報番組への出演、多数の雑誌内特集記事の監修、書籍の執筆や講演活動などを幅広く行い、生活習慣病予防、抗加齢医学の啓発に従事。日本抗加齢医学会役員としても、日本全国のアンチエイジングクリニック、アンチエイジング関連施設での指導・アドバイス、講演会等を行っている。
自らもアンチエイジングライフを日々の生活の中で実践し、ホルモン年齢、脳年齢、筋・骨年齢などはすべて30代前半の体内年齢をキープしている。

◼所属学会

・日本健康医療学会常任理事
・日本エイジマネージメント医療研究機構理事
・日本抗加齢医学会評議員
・日本内科学会認定内科医
・日本抗加齢医学会専門医
・日本健康医療学会認定医

◼主な著書・共著

『モナリザエクササイズ』(エクスナレッジ)
『40歳からのタイプ別 ダイエット診断』(竹書房)
『いい睡眠があなたを10歳若くする』(青春出版社)
『一生若くいられる「都市型原人」という生き方』(マキノ出版)
など、多数。